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2016年4月28日 (木)

新しい論文

海洋植物学研究室から新しい論文がリリースされました。Ecology and Evolution誌のホームページでearly viewとして公開中。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.2149/abstract

2004年から毎月毎月・・・四万十川河口でアオノリの調査をしてもう12年目に突入。最初の3年間で調査した成果が今頃発表になってます。遅い…
内容は、四万十川河口で冬に採取されている高級青海苔の生態について。この青海苔はスジアオノリといいます。スジアオノリには有性生殖する株と無性生殖する株があるのですが、地道な調査で四万十川河口の上流部分に有性株が、下流河口に無性株が棲み分けていることを発見しました。
タイトル:Novel distribution pattern between coexisting sexual and obligate asexual variants of the true estuarine macroalga Ulva prolifera
真性汽水大型藻スジアオノリに共存する有性株と独立無性株で発見された分布パターン
要旨の訳: 同種内で有性型と無性型が共存する場合、無性型は生育範囲の周縁部にみられることが多い。この無性型の分布パターンは、性のパラドックスの問題と関連して進化学的な注目を浴びてきた。多くの海産種では、生態地理学で周縁部とみなされる低塩分域で無性がよく出現する分布傾向がある。これは低塩分が有性生殖過程に負の効果があるためと説明される。しかし、最近低塩分に適応した真性汽水種の分布パターンはよくわかっていない。汽水産大型藻スジアオノリは汽水域生態系の主要な底生構成生物であり、有性生殖する株と独立して遊走胞子による無性生殖する株を含んでいる。我々は河川汽水域の塩分勾配に沿ってこの藻の有性-無性分布パターンを調べた。驚いたことに、海産生物とは真逆の分布傾向で、有性は無性よりも低塩分域で常に優占する明瞭な結果が示された。さらに、有性集団では配偶体と胞子体の頻繁な世代交代が観察され、これは低塩分でも有性生殖過程が健全に働いていることを示唆している。汽水産スジアオノリが低塩分に適応して祖先種から進化した真性汽水種であり、分布の中心が低塩分域だと考えれば、その分布パターンはこれまで多くの生物で報告されている無性周縁分布に含めることができる。その進化過程を簡潔に説明するためにニッチェ多様性固定モデル(frozen niche variation model)を採用した。このモデルを当てはめると、さまざまな遺伝型を保持する複数の無性型が、低塩分適応していく有性型祖先から生じて、現在、汽水生息域を有性型と分け合っていると説明される。

(平岡)

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